日暮れ、道遠し

つくばで日本語教育をやっている大学院生の、見たこと聞いたこと考えたことなどについて。

日本語教師とキャリア ~とあるキャリアの一例と、その弱点(?)~

もうすぐ27さい。高校時代に出会った「日本語教育」に、なんとかまだかじりつけているかな、という感覚があります。

と、しみじみとすることも増えてきた頃合いにこんな記事を読みました(紹介・引用の許可は取得済みです)。

 

shirogb250.com

 

先にあった「日本語教師は大学院に行ったほうがいいか?」という話から、著者のさくまさんが考える「私が20代前半だったら」というシミュレーションがあるわけですが、おおむね自分(ひぐれ)がこれまで辿ってきている道のりで笑ってしまいました。シミュレーションの詳細はさくまさんのブログを見ていただければと思いますが、ざっくり

前提

・学部で日本語教育専攻

日本語教育に関わる進路に進む

流れ

・日本国内の大学院で日本語教育専攻

・公的派遣のポストで海外派遣

・(どこかのタイミングで)日本語教育能力検定試験合格

 

という感じ。

自分は

・学部で日本語教育専攻

日本語教育に関わりたかった

・学部卒業後JF派遣で2年間アメリカ行き

・帰国後に日本語教育専攻で国内大学院へ進学(学部と同じ大学)

・学部在学中に検定試験合格

こんな感じ。

この道を選んできた理由もさくまさんがおっしゃっていることとほとんど同じ(人脈・待遇・ネタ探し・etc.)で、運の要素もかなりあるとはいえ&自分で言うのかという感じですが、そこまで悪い選択をしてきたわけではないという思いもあります。ありますが、同時に「こういう弱点(?)もあるかな」という印象もあり。

と思って反射的にしたためたのが以下から始まる一連のツイートです。続いてます。

  

 

この記事では、上記連投ツイートを補足していく形で、上記のシミュレーションを実践してき(てしまっ)た人間としての覚書を交えつつ「悪くはないんだけどこういう弱点(?)はあるかな」という話を書いていこうと思います。弱点というかただのコンプレックスでは?というところもありますが。「なんとなくわかればいいや」という方はツイートだけでも十分でしょう。

メインターゲットとして日本語教育に興味がある高校生・大学生の方々が進路を考える上での一助になることを目指しますが、「私もそう!」という方にもあるあるネタとして消費していただければ。「えー」というところなどありましたらコメント・ツイートなどでご意見ください。

 

本題。まずこちらのツイートから。

 

①。大学院には入っとく?という話。

さくまさんのブログでは大学院進学→海外派遣という流れでしたが、自分の場合は海外派遣→大学院進学(入学)でした。

自分の参加した海外派遣は7月末から派遣開始で、大学を3月に卒業して4ヶ月強の時間があいていたわけですね。その時間がどうにも絶妙で。自分は大学のある茨城から福岡の実家に戻ってアルバイトをしていました。某石橋タイヤ店のタイヤセールスのお手伝いとか、博多マルイのオープニングスタッフ(することがなかったので倉庫でCEFRの邦訳版を読んでいた)とか。そして渡米、2年後の6月に帰国、10月院試、翌年4月入学。

と書くとうまく進んではいるんですが、もし派遣に落ちてたら、次の応募(または派遣は諦めて大学院受験、または両方)まで1年まるっと空いていたわけです。無職で。

自分がなんで学部→大学院にそのまま進まなかったのかというと、「ネタがなかった」からです。日本語教育に対する漠然とした興味関心はあったものの、修論レベルでも「これが!」というほどの研究テーマがなかった。「とにかく行けばネタは見つかるよ」と言ってくれる方はいらっしゃいますが、いやそこはちゃんと準備して行きたい(というか院試に臨めない)……という気持ちがありストレート進学は断念しました。卒論は卒論で楽しく頑張りましたが、卒論止まりだなという内容でした。 

自分のように背水の陣ならそれもそれでよしですが、ことこういう派遣応募って単純にテストで高得点でパスってわけじゃなく、合格の基準がわからないだけに頑張りにも限界があるんですよね。うまくいったからよかったようなものの、今振り返ってみるとリスクヘッジ的に大学院に進んでおくのはいいんじゃないかと思います。まあ、「無職(フリーター)は絶対ダメなのだ」と言いたいわけではありませんが。その辺はそれぞれの状況・価値観にもよると思います。「履歴書に空白を作るな」とはよく聞きますね。自分はそういうのをあんまり真面目に受け取らないタチですが、そうは問屋がおろさない世情があるのもまた事実。

あと、先に入学しておく点について地味にいいなと思ったのが、派遣が終わって帰国してすぐ学生になれる点。自分は帰国してから大学院入学まで10ヶ月弱ほど間が空いてしまいましたが、派遣期間を休学扱いにしていれば帰国即学生に戻れました。もちろんアルバイトをしつつ自分で勉強して受験・進学、というのも悪くはないと思いますし、逆に戻ってM1の後期となると修論もバタバタ進めることになるのではないでしょうか(もちろん派遣されている間にデータ収集を進めるなどであれば問題はないでしょうが、そのための準備を逆算してしっかりしておく必要があります)。人によってはM1後半以降で就活もあるだろうし。

さらっと「大学院に進むこと」が前提にされていますが、このルートに進むならキャリア的にせめて修士、とはなるんじゃないかなと思います。詳細はまた別の機会にでも。

 

②。国内事情に暗いという話。

これは弱点というよりは「そりゃそうなるよな」という話ですね。日本で日本語教育の話をするとやっぱり国内事情(日本語学校とか)に関することが多く、「日本語教育をずっとやってきました!」と言う割に全然知らないなぁ、というのがなんとなーくコンプレックスというか、やっぱりどこかで一度経験しておくべきか……と思ったり思わなかったり。ただまあ「なければいけない経験」ってわけでもないだろうし、そこはその分自分が見てきた地域についての知識・経験があるからいいかなとは思います。逆にそういう「他の人が知らないこと」で重宝される機会も少なからずあるので、前向きに。

 

 

 

③。「日本語教育」バカという話。

②に近いようでもう少し広く、自分自身に関してかかってくるコンプレックスですね。

大学院では別の専門分野を専攻しながら日本語教育についても学ぼうという方がいらっしゃったりして、そういう人の「別の引き出し」には惚れ惚れします。あと、新卒で普通に就職してというルートもぶった切ってきたので、「会社勤め」の経験がない。ので、いわゆるビジネス日本語というものも自信がない。とはいえ~~~と思って書いたのが次のツイートです。

 

 

虚仮の一念ではありませんが、こういう話については焦ってあれもこれも、となるよりは専門性を上げて対処できる幅を広げようということですね(ちなみに「レベルを上げて物理で殴る」はインターネット慣用句です)。その上で、やっぱり教える相手や教える場、教えた先にどうなるの?というように専門以外の要素も多分に関わってくる世界ですから、専門外の知識に手を広げていくことも大事。そういう意図でした。日本語教育は掘り下げていくと勝手に色々なものが巻き込まれてくるという点で知識の幅を広げやすい分野かなとは思います。その分すぐに迷子になっちゃうというのはありますが。

多少ニッチに振って自分の好きなことを追っていくだけでも、学習者の需要に結びつけば勝ちですよね。そのへんは村上さん《冒険家メソッド」》にも繋がってくるのではないでしょうか。 

 

 

おまけ:日本語教育能力検定試験

日本語教育能力検定試験は学部4年の時に卒論を書く中で受験して取りました。というと優等生ぶっているようでアレですが、専攻で勉強している人にとって学部生の頃って取りやすいような気がします。専攻で勉強してきたから、「あ、あれ講義で聞いたやつ!」 みたいなことばかりです。直接勉強したことでなくても、勉強がしやすい気がする。知識が繋がるノリというか。学部で勉強してきたことの集大成感があって、自分としては割と自然な流れで「取っとくかー」となりました。ただ、取ってしまうと「昔取ったし~」となってしまうので、定期的に受験して知識をきちんと保守・アップデートするのも大事だな、という気もここのところしています。

 

おわりです

書きに書いたり4,000字オーバー。

結局自分で自分をどう納得させるかというか、人によって条件の許す許さないも異なるとは思いますが、絶対の正解も絶対の間違いもない話だとは思います。 「あくまでも個人の感想です」レベルで、大したこと言ってない気もするんですが、自分で自分を振り返っているからそう感じるだけなのかもしれません。さくまさんが上掲記事でおっしゃっているように「『普通のこと』でも意味のある記事」であることを祈っています。

何か質問やコメントなどありましたらtwitterひぐれ (@PaPio1130) | Twitter)かここのコメント欄、もしくは質問箱のリンクを置いておくのでこちらまでどうぞ。

 

peing.net

 

ではでは~~~