少し前の話になってしまいますが、出張に行ってきました。愛知県は蒲郡市、愛知工科大学にお邪魔してきました。
珍しく、学会参加ではない出張です。というのも同学の自動車短期大学で、自分が専門としている自動車整備×日本語教育で面白い取り組みをしていらっしゃるようでしたので「見せてくーださい!」と乗り込んでいった。そういう次第です。
詳細は以下の通り。以下のファイルのpp.68-72が当該論文です(重めのpdfに直接リンクします)。
https://www.aut.ac.jp/library/wp-content/uploads/2025/03/kiyou22.pdf
自動車整備×日本語教育の研究って、ないんですよ……。ほんとうに……。
と思っているところで見つけ出したのが上掲の論文でした。留学生を相手とした授業の中で、教材を作って面白いことをなさっているようだ! なんだこれ! 面白そう! この教材……見たい……!!!!!!
ということで論文筆者の先生に突然の連絡を入れたのが数ヶ月前のこと。やり取りを交わす中で教材の閲覧のための学校の訪問許可が降り、一路蒲郡市を目指すことに。
長崎-名古屋(NGO)便があってよかった。セントレアは初でしたがなかなか面白い空港ですね。それは置いておいて。

蒲郡市名物ガマゴリうどんです。「蒲郡」は「がまごおり」だけど、これは「ガマゴリ」。蒲郡での映画の撮影中のまかないとして生まれた、という由来に関わる映画のタイトルも「ガマゴリ・ネバーアイランド」というそうですが、じゃあなんで「ガマゴオリ」じゃなくて「ガマゴリ」なんだ、というのは不明です。三河湾でとれたアサリをふんだんに使った、滋味深いおうどん。
話を戻します。
教材を拝見し、授業(実習)を拝見して1日かけて色々なお話を伺ってきたのですが、いやあ……(日本語教育以外の)専門家が日本語教育の知識を付けたら最強やん……?
とみに思わされました。ほんとに。
取り組みの詳細は上掲の論文参照で、自分が訪問して伺った内容も、詳しくは(・x・)ナイショというか、上掲の論文にエッセンスは凝縮されているのでそちらをご覧くださいとしか言えないのですが……畢竟専門家になるということ(のひとつの解釈)は「その分野の言葉遣いを覚える」ことなんでしょうね。
その点において日本語・日本語教育の専門家というのは、そうした専門分野における言葉遣いを、大きな「ことば・日本語」の中で捉えることには長けているけれど、その個別の専門分野のことについて知っていることとはイコールではないなぁ……と痛感させられます。
もちろん、ある程度追いつこうと努力することはできる。できるけれど、専門分野の中でしっかり教育を受けることとはどうにも勝手が違う。特に自動車整備なんて、実際に実車・部品に触れてなんぼみたいなところがありますからね。門外漢が机に向かってテキストを読み込んだところで、やっぱり限界があります。
その反対に、自動車・自動車整備についてしっかり知っている専門家の先生が、非母語話者に教えるための勘所、要するに「日本語教育についての基本的な知識」を身に着けたら。それはもう本当にものすごいことだよなあ。と。取り組みや作成されている教材を伺って、しみじみ思わされました。
では、専門日本語教育において「日本語教育の専門家」は要らないのか。
そんなことはないな、と思いました。やはり、現場で実際に教育にあたるのは専門分野の知識を持っている人がいいだろうけれど、そこで「日本語教育の勘所」を活かしてもらうための情報整理やその発信は、日本語教育の専門家の方がいいと思います。
もちろん現場で学習者と触れ合う中で生まれてくるアイデアがあり、そうして生まれる授業はよい。けれど、どうしてもそういうときに、日本語・日本語教育の基礎的な知識がないままで教育内容を作っていくので、どうにも効率が(比較的)落ちてしまったり、「もう少しこういう要素が入れば……!」という(あまり良い言い方ではないが)片手落ちな感じになったりするし、それをそれぞれの教育機関でやっていると、出来がバラバラな上「車輪の再開発」的になってしまったりする。それは、あまりにももったいない。
そこは、日本語側の専門家が参照できる情報をまとめていたり、それを発信していたり、さらに進めばそのための教材を作ったりしておくと、全体の底上げができるはず。そう感じました。
というわけで、どの専門家についても「餅は餅屋」であり、自分は発信に向けた研究を頑張らないとな……という思いをあらためて強く思った出張でありました。
おまけ。竹島水族館に行ってきたんですが楽しいところでした。手書きのポップ、もとい解説文がもりだくさん。様々なめずらしい海の生き物の食べ方に詳しくなれるし、オオグソクムシも触れます。かわいかった。
